第29回 日本核医学技術学会 九州地方会学術大会 熊本大会 The technology of Nuclear Medicine : From Kyushu

第29回 日本核医学技術学会 九州地方会学術大会 熊本大会

第29回 日本核医学技術学会 九州地方会学術大会 熊本大会

特別講演・教育講演抄録


*日程順で掲載しています。

 

「アミロイドイメージング剤と新薬剤の開発」

   熊本大学大学院生命科学研究部 医用理工学分野   冨吉 勝美

 

近年, 脳神経疾患であるアルツハイマー病のPET/SPECTによる分子イメージングが注目を集めている。アルツハイマー病に特徴的な脳内病理学的変化として, βシート構造を取ったアミロイドβペプチドからなる老人班の沈着と過剰にリン酸化されたタウタンパクからなる神経原線維変化の出現が知られている。体外からの老人班の検出は, アルツハイマー病の早期診断につながると考えられることから, アミロイドイメージングプローブを利用した老人班のインビボ画像診断が注目されている。 現在, アミロイドーシス疾患の一種である, アルツハイマー病のアミロイドイメージング剤として

, 11C-PIB (【N-methyl-11C】2-(4’-methylaminophenyl)-6-hydroxybenzothiazole)

が最も多く臨床研究され, PIBのアミロイドイメージングにより, アルツハイマー病患者の診断に応用されている。

今回熊本大学医学部神経内科と共同で開発した新薬剤EMSB (1-(2-mestyl-ethoxy) -2,5bis (styryl)benzene)は、全身性のアミロイドを画像化しようとする試みである。アルツハイマー病を含む脳アミロイド及び全身性のアミロイドーシスをPET/SPECT装置で画像化し診断出来れば, リアルタイムに非侵襲的で定量的な診断, 疾患の進行度の判定が可能になり, 現在行われている手法である生検組織を用いた侵襲的な診断に代わる新たな診断法となることが期待される。我々が開発した新しいアミロイドイメージング用プローブである125I-EISB (1-(2-125I-ethoxy)-2,5bis (styryl)benzene)の標識合成条件の検討, 分取精製, 安定性の検討及びマウスを用いて体内分布を測定し, 臨床応用のための基礎的検討を教育講演としたい。

 

 

 

「SPECT撮像技術の進歩」

   熊本大学大学院生命科学研究部 医用画像学分野   冨口 靜二

 

SPECT撮像技術では、装置および再構成法について、特に心臓核医学の分野で進歩している。その背景の一つは、心臓核医学検査における撮像時間の短縮や被曝量の低減である。そこで、近年SPECT装置においては新しい検出器を用い心臓専用に開発された装置や新しい画像再構成法が導入され、短時間撮像や投与量低減による被ばく線量低減が可能となっている。今回は、主に心筋血流SPECT検査(SPECT-MPI)検査における装置や画像再構成法の進歩について概説する。

装置に関しては、新しい検出器として半導体CZTを使用したもの、CsI(Tl)とSiフォトダイオードを検出器に使用したものなどが開発されている。また、NaI(Tl)検出器を使用した装置でもコリメータと再構成法を工夫することで短時間撮像を可能とした装置も使用されている。このような装置では、従来の平行多孔型コリメータを装着した2検出器型SPECT装置で収集される投影像を得ることができないため、専用の画像再構成法が必要となる。

また、減弱・散乱腺およびコリメータ開口径と距離に依存した空間分化能劣化(空間分解能補正)などの補正を行う場合には、FBP法では、困難なので、逐次近似法による再構成が必要となる。逐次近似法も従来はOS-EM法のみであったが、最近はMAP-EM法なども使用されている。これは、逐次近似法の弱点である繰り返し回数が増加すると雑音も増加するため、雑音をいかにコントロールするかが重要な課題で、各社で異なる対応がされている。現在、新しい技術の基礎的検討や臨床的な意義については、十分ではないが、今後のSPECT-MPI検査法の方向性を示している。一方、PET製剤での18F標識の心筋血流製剤が開発されつつあり、冠循環予備能の評価まで可能となる心筋血流PET検査(PET-MPI)検査も臨床導入される可能性もある。PET検査では,CTに代わり被曝のないMRIを組み合わせた装置も臨床導入されている。将来的には、現状で技術的に可能なSPECT/MRI装置の開発も期待される。

 

 

 

「最新の非侵襲脳血流定量法」

   熊本大学大学院生命科学研究部 医用画像学分野   伊藤 茂樹

 

脳血流Single photon emission tomography ( SPECT )検査は虚血性脳血管障害の重篤度評価, 手術適用判定, リスク評価, 認知症の診断等目的で実施され, これらの変性部位や血流低下部位にはそれぞれ特徴を有している. このような局所微小変化を捉えるためには脳血流定量が必要不可欠である.

脳血流定量法には侵襲的定量法と非侵襲的定量法があり, 前者は, 入力関数決定のために動脈採血を実施し, 後者は入力関数を画像解析によって推定する.

非侵襲的脳血流定量法は画像解析により入力関数を得るため, 術者の能力に大きく依存することから, その再現性および精度は侵襲的脳血流定量法より劣るが, 簡便であることから, 臨床現場では広く支持され、精度に優れ再現性の高い方法が熱望されている.

当研究室では, これらの問題を克服した99mTc-ethyl cysteinate dimmer (99mTc-ECD) improved brain uptake method (IBUR)法, およびIodine-123-N-isopropyl-p-iodoamphetamine (123I-IMP) simplified microsphare method (SIMS) 法を開発した.

いずれも, RI-angiographyの画像解析によって入力関数を推定する. 解析時の関心領域(ROI)設定は手動であるため, 術者のスキルに大きく依存し, 再現性に劣る. 自動でROIを決定するプログラムが開発出来れば, これらの問題が解決され, 99mTc-ECD-IBUR , 123I-IMP-SIMS法はより簡便な脳血流定量法となる.昨年度に, これらの侵襲的脳血流定量法の全自動プログラムをようやく完成させることができた.

本講演では, 当研究室で開発した全自動99mTc-ECD-IBUR , 123I-IMP-SIMS法プログラムの概要およびその精度について解説する. さらに, 臨床現場で使用されている99mTc-ECD-Patlak plot法とIBUR法, 123I-IMP-gpraph plot法とSIMS法それぞれの臨床データを比較することにより, 99mTc-ECD -IBUR ,  123I-IMP-SIMS法の有用性を明らかにする.

 

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